学校における事件・事故がもたらす影響
学校において、事件や事故が起こった場合に、被害者やその周囲の人々がその後どのような影響を受けるかについては、その出来事の起こった状況や被害の程度、出来事後の周囲の対応などにより異なるため、予測は困難である。しかし特に被害者が死亡した場合、被害者の周囲で事故や事件を目撃した場合、また被害者と親しい関係にある場合には、児童並びに他の関係者におおよそ次のような問題が起こる可能性を考慮する。
+出来事直後から、強い不安感、恐怖感あるいは無力感が出現する
+(子供の場合)怒りやイライラなどの感情の爆発や多動などの問題行動が見られる
+過呼吸などのパニック発作、頭痛・腹痛や嘔吐などの身体的なストレス反応が起こる
+出来事が頭から離れない、繰り返し思い出す、悪夢を見る
+集中力、物事への興味がなくなる、ぼんやりして何も手に着かない
+眠れない(まれに眠りすぎる)、食欲がなくなる、物忘れがひどくなる、など
+(集団の事故や事件の場合)生き残ったことへの罪悪感、自責感が出現する
出来事の後、数日以内に上記のような急性ストレス反応(ASD)が起こることがあるが、多くはいったんピークを過ぎた後、時間の経過と共に次第に回復する。しかし、このような症状が1ヶ月以上続くと、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断される。
まれに、出来事の後しばらくは特に問題なく過ごしていた人が、数ヶ月〜数年後に、上記のような症状を現すこともある。(遅発性PTSD)
出来事の後、ストレス反応を示す可能性を高める要因としては、次のようなものが考えられる
-被害者と性格、興味、特徴に共通点がある場合(強い不安や恐怖反応が起こりやすい)
-事件・事故と直接関係ない別の問題行動や学校での問題を抱える場合
-出来事に対して極端な悲嘆反応を示す、あるいは逆にほとんど反応を示さない場合
-以前に別の事故・事件の被害者であった場合
-家族を始めとする人間関係の問題、健康問題、あるいは精神的な疾患を持つ場合